なぜ相続に備えることが必要なのか

相続は家庭環境や保有している財産などにかかわりなく、人の死によって必ず生じるものです。

しかし、「うちは相続の備えを十分にしている」と言える人がどれほどおられるでしょうか?あまり多くないのではないかと予想されます。

例えば、備えをしないことの理由として以下のようなことをあげる方が少なくありません。

・何をしてよいかわからない。

・相続は死を連想させるので考えたくない。

・現実感が無い。

・うちは何も問題は起こらないだろう。

・面倒そうだ。

などです。

 

しかし、その結果どんなことが起こっているでしょうか?

 

家庭裁判所の最近の統計によりますと、年間15万件以上もの相続に関する相談が持ち込まれ、相続の関係した審判・調停事件が20万件近く扱われています。しかも これらは増加傾向にあり、この10年で約60%も増加しています。

 

また家庭裁判所にもちこまれずに、こじれたまま未解決になっている相続問題はさらに数多く存在すると予想されます。今後本格的な少子高齢化社会になるにしたがい、相続事件は増えることはあっても少なくなることはおそらくないでしょう。

 

ところで相続が生じ困ったことになってしまうケースの多くは事前の備えによってかなり防げるはずのものだったといえます。

 

なぜでしょうか?

 

それは、相続の問題の多くは、亡くなった方の意思がはっきり分からないゆえに生じるからです。

 

どう扱うべきか何も知らされないまま残された相続財産、それは突然に持ち主を失った落し物のようなものといえるかもしれません。実際の落し物は交番に届けますが、相続財産という落し物は相続人という特定の人々の話し合いによって分けられることになります。落し物の種類は様々で価値も様々です。

 

さて、仲良く話し合って分けることができるでしょうか?

 

そうできることもありますし、できないこともあります。しかし、落し物のうち最も良いものをできるだけ多くもらいたいというのは大抵の人が考えることですから、話し合いはそう簡単にはいかないことが予想されるのではないでしょうか?

 

一方で、持ち主からどう扱うべきかが知らされて残された相続財産、それは落し物ではなく、贈り物です。贈り物であるなら、それぞれもらうものが異なるとはいえ、それに文句をつける筋合いはありません。どんなものであれ、贈り物をもらったということに感謝すべきなのではないでしょうか?

 

こう考えると、相続において亡くなった方の意思がはっきりと示されているということは大きな違いをもたらすと感じられないでしょうか?

 

ですから、ご自分の相続であれ、配偶者や親・祖父母の相続であれ、少し具体的にイメージしてみていただきたいのです。

 

今住んでいる家は誰の名義でしょうか?もしその名義人が亡くなったら、誰のものになるでしょうか?銀行口座や株はどうなるでしょうか?借金や連帯保証人の立場はどうなるでしょうか?経営している店や会社はどうなるでしょうか?田畑はだれが引き継ぐのでしょうか?もし相続がおこったなら、相続人同士は円満に話し合えそうでしょうか?そもそも誰が相続人になるのかがはっきりとしているでしょうか?

 

イメージができたなら、次に今のうちから何かできることはないだろうか、と考えてみましょう。この点では情報収集が大切です。相続関係説明図のパターン別の書式と解説